小諸なる古城のほとり
雲白く遊子(ゆうし)悲しむ
緑なすはこべは萌えず
若草も籍(し)くによしなし
しろがねの衾(ふすま)の岡辺(おかべ)
日に溶けて淡雪流る
あたゝかき光はあれど
野に満つる香(かおり)も知らず
浅くのみ春は霞みて
麦の色わずかに青し
旅人の群はいくつか
畠中の道を急ぎぬ
暮行けば浅間も見えず
歌哀し佐久の草笛
千曲川いざよう波の
岸近き宿にのぼりつ
濁(にご)り酒濁れる飲みて
草枕しばし慰む
この詩もぼくが中学生の時に覚えた詩だ。
背伸びしたい年頃の中学生が美しい韻を踏んだ
長い詩をがんばって覚えたものだ。
だからその情景が実際にどのようなものであるのか
その当時は思い至らなかった。
歳をとって美しい千曲川の旅情がわかるようになったものだ。
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