2011年3月4日金曜日

潮干狩り

ぼくは、瀬戸内海の小さな島で育った。

だから、家の前がすぐ海というところだった。

小学校の頃はまだ海がきれいで、

湾になっていたぼくの家の前の海には

潮が引くと広い干潟になって

たくさんの海の生き物が住んでいた。

学校から帰ると、遊びで潮干狩りによく行った。

プラスチックのけっこう大きなバケツを持って

草かきを持って、貝掘りに行ったものだった。

たいして苦労もせずに、一かきするたびに大量のアサリがとれた。

バケツはすぐにいっぱいになった。

貝掘りもおもしろかったが、シャコを掘りに行くのも楽しかった。

シャコの穴は虹を反対にしたような形で

その両側に穴が二つ開いていて、

どちらかの穴から掘っていくと

反対側の穴からシャコが飛び出てくるといった案配だった。

シャコにはとげがあるので、すごく気をつけてとっていたように思う。

さらにおもしろかったのが、タコ掘り。

ぼくたちは、当時手長と呼んでいたが、手長ダコの穴は垂直でけっこう深く

スコップを持っていってほっていたような気がする。

最後に穴の一番奥に手を突っ込むとぬるぬるとしたタコの手足と

吸盤がくっついてくるのが気持ちよかった。

海の生き物がたくさん住んでいた頃の干潟には

藻がはえているところがたくさんあって

藻の中には小さなイカがいることもよくあった。

ぼくたちが中学生、高校生となるにつれて

海は家庭排水で汚れていき、

昔のような潮干狩りはできなくなってしまった。

それが、今でも残念だ。

もし、昔のままの干潟なら、子どもたちを連れて

思う存分遊ばせてやれただろうになあと思う。


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