2011年5月24日火曜日

あしあと


『あしあと 』

原詩 マーガレット・F・.パワーズ(プロテスタントの牧師) 訳 松代恵美



ある夜、わたしは夢を見た。

わたしは、主とともに、渚-なぎさ-を歩いていた。

暗い夜空に、これまでのわたしの人生が映し出された。

どの光景にも、砂の上にふたりのあしあとが残されていた。


一つは、わたしのあしあと、

もう一つは主のあしあとであった。


これまでの人生の最後の光景が映し出されたとき、

わたしは、砂の上のあしあとに目を留めた。


そこには、一つのあしあとしかなかった。

わたしの人生で一番つらく、悲しい時だった。


このことがいつもわたしの心を乱していたので、

わたしはその悩みについて主にお尋ねした。



「主よ。わたしがあなたに従うと決心したとき、

あなたは、すべての道において、わたしとともに歩み、

わたしと語り合ってくださると約束されました。

それなのに、わたしの人生の一番つらい時、

ひとりのあしあとしかなかったのです。

一番あなたを必要としたときに、

あなたが、なぜ、わたしを捨てられたのか、

わたしにはわかりません」



主は、ささやかれた。


「私の大切な子よ。私は、あなたを愛している。

あなたを決して捨てたりはしない。

ましてや、苦しみや試みの時に。


あしあとが一つだったとき、

私はあなたを背負って歩いていた」






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