ぼくが小学校のころ、少しだけ流行った遊びに、「貝釣り」がある。
ぼくの通ってた小学校の裏手に「潮回し」という名前の池がある。
「潮回し」という名前からわかるように海の水をそこまで引き込んでくるため池のようなものだった。
何のためにそんな池を作ったのかは聞いたことがなかったから知らない。
その潮回しまで海の水を引き込むための用水路があった。
水は浅くてスリッパをはいて歩けるくらいだったが、その頃はとてもきれいな水だった。
石垣が組んである水のほとりでぼくたちは頭を並べて水の中に、そこら辺に生えているアシの細い
先をいれて行くのだ。
潮回しの水はもちろん海水で、その頃はアサリがたくさん住んでいた。
アサリは小石混じりの砂の中にもぐっているが、
入水管と、出水管の二つの管は水の中に出している。
上からみると黒い縁取りの丸い穴が、そろって並んでいるような感じだ。
その二つの穴のどちらか一方にアシの先をつっこむ。
そしたらアサリはびっくりして貝がらを閉じる。
アシの先にしっかり食いついた貝をこうやって釣り上げるわけである。
食いついた貝の重さを今も感じる。
これがけっこう楽しい遊びだったのだ。
今は水が汚れてしまって貝もいなくなってしまったが。
日本全国で貝をこんなふうにして釣り上げて遊んでた小学生は
あまりいなかったのではないか、と思うのだが。
今でも潮回しの小さな石の橋の場所にくると、
寝そべって水の中の小さな二つの穴を探していた小学生の頃を思い出す。
0 件のコメント:
コメントを投稿