好きなむかし話シリーズ。ふるやのもり。
あるとところにおじいさんとおばあさんが暮らしていて、ある夜
この世の中で一番怖いものは何だろうかという話になったときに
おばあさんがやっぱりそれは、どう猛な虎みたいな獣でしょうという。
ところがおじいさんは、いやいや、ふるやのもりの方がもっと怖いぞと反論する。
ふるやのもりというのは古くなった家の屋根がぼろぼろになって
雨がそこからもることをいう訳なんだけどね。
そしたらおばあさんも、大きくうなずいてふるやのもりほど怖いものはありませんねと賛成する。
ちょうどその夜泥棒がおじいさんとおばあさんの家の馬屋の梁の上に乗っかってその話を聞いていた。
ちょうどその夜大きな虎もおじいさんとおばあさんの家の馬屋でその話を聞いていた。
泥棒も、虎も、虎より恐ろしいふるやのもりという化け物がいると思い込んだわけだ。
怖くなった泥棒は足をつるっと滑らせ、梁の上から下に真っ逆さまに落ちた。
落ちたところが、これまたふるやのもりの話を聞いてふるえていた虎の背中の上。
虎はふるやのもりが飛びついてきたと思って必死で逃げ出した。
泥棒もふるやのもりの背中に飛び乗ってしまったと思って振り落とされたら死んでしまうと思い、
これまた必死でしがみつく。
山の中を駆け抜け、ヤブをぬけ虎は必死にふるやのもりを振り落とそうとする。
とうとう振り落とされて山の穴の中に泥棒は落ちてしまい、虎はほっとして今夜あった恐ろしい話を
動物たちに離して聴かせるのだけど、みんなは恐ろしそうに顔を見合わせてぶるぶる震えながらはなしをきいて
いたけど、猿だけはどうもおかしいと思って、ふるやのもりを振り落としたという穴のところに行ってみる。
深い穴にいるのはただの人間にしか見えない。
なあんだ、ふるやのもりというからどんなに恐ろしいものかと思ったら
ただの人間じゃないかと馬鹿にしたようにしっぽをたらしたら、
泥棒はどうやって深い穴から出ようかと考えていたところに綱のようなものが降りてくるから
それをつかんで這い上がろうとした。
猿はびっくりして、やっぱり恐ろしいふるやのもりだったと思って必死でしっぽを引き上げようとする。
泥棒は絶対離すもんかと必死にしがみつく。
とうとう長いしっぽの先がちぎれて猿のしっぽは今のような短いしっぽになってしまったという話。
泥棒が逃げ出せたかどうか忘れてしまった。
この勘違いの話はおもしろくて好きだったな。
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