ぼくの父が自分ちの庭の梅の木を見ては
桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿といっていたのを思い出す。
くわしく調べると次のようなことらしい。
桜はあまり枝を切らないほうが整然とした樹姿(扁平な半球形)を保つことができる。
一方、梅は枝を切らないで放任状態にしておくと、枝が込み合って良い花や果実が成らない。
そこで、桜はみだりに枝、とくに太い枝は切らないように、梅は適度に枝を切って立派な花を咲かせ、
大きな果実を収穫するための注意を言葉短かに表現したものらしい。
現実的には、桜は枝、とくに太い枝を切ると、
切り口の傷の治りより腐り込みのほうが早く樹の勢いが悪くなりやすいし、
桜らしい姿を維持することがむつかしくなる。
梅の枝は、放置すると気ままな方向に伸びて太い枝が交差し、
ふところ部分の枝は枯れ、結果枝は衰弱していく。
そこで交差した枝や内向枝を切り除く。その際できる大きな切り傷でも、
予想以上に早く癒合組織ができて健全な樹勢を維持することができる。
反対に、桜は切り傷の治りが悪いから枝をあまり切らない。
梅は切り傷の治りが良いから積極的に枝を切っても良いという古くからの諺は
ほんとうのことを言っているわけだ。
ちなみに、桜でも梅でも、ほかの果樹でも、枝を切ってできた切り傷には
癒合剤や殺菌剤の入った保護剤があるので必ずぬったほうがよい。
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