本日(5月31日)午前中に開かれた衆議院法務委員会で、「コンピュータ監視法」(情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案)が、「全員起立」の総員賛成で可決した。本会議で成立すれば、参議院に舞台は移ることになる。審議を傍聴した共謀罪反対運動関係者は、「監視法を鋭く批判してきた民主党議員もあっさり賛成。一体どうなっているのか」「出来レースの質疑だった」「江田法相はインターネットがわかっていない」と口々に不満や憤りを表明した。それは無理もない。参考人や江田五月法相に対する、民主党議員からの質疑のなかで、いくつかの疑問点が浮かび上がった。ところが、江田法相らの答弁は疑問に応えるものとは思えないのに、当の民主党議員たちもふくめて全員賛成しあっさり可決してしまったからだ。一例をあげよう。質疑のなかで辻恵議員(民主)は「ウイルス作成罪は、警察の見込捜査を生み出しかねないのでは?」「通信記録の保全を令状なしにできるとすると、令状主義を逸脱することになるのでは?」と質問したことに対し、江田法相は「見込捜査は横行させない」「捜査は慎重におこなう」ともっぱら繰り返すのみ。そもそもコンピュータ監視法は、民主党も反対してきた共謀罪の一部分。江田法相は「インターネットは今や社会のインフラだ。ウイルスの拡大を一刻も早く止める必要がある」と言うが、被災者支援に集中すべき今、急いで成立させなければならない理由としては説得力がない。江田法相の答弁で、唯一、明確だったと思われるのは、懸念の声が多い、捜査機関による「通信履歴の保全」の範囲に関してだ。「いわゆるメールの『件名』は通信の内容になるので、履歴には含まない」とのことだ。さて法務委員会の可決後、コンピューター監視法反対運動の関係者はこう語った。「この審議で特徴的だったのは自民党の柴山昌彦議員の追及。『共謀罪に民主党は反対してきたのに、コンピュータ監視の部分だけ賛成では、整合性がとれない』『ウイルス同様、テロの危険性は高まっている』と共謀罪全体の成立へ、民主党を突き上げている。これに今の民主党は抗しきれるか。再び共謀罪反対の世論を高める必要がある」。
2011年5月31日掲載。この記事の続きを見たい方は、本紙改訂有料ネット記事アクセス・ジャーナルへ
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